『がんばっていきまっしょい』を観るために
−ボート競技とその基礎知識−
「ボート」と聞いて具体的なイメージを思い浮かべることのできる人はどのくらいいるでしょうか? テレビなどでもほとんどお目にかかれることの出来ないこのスポーツは、多くの人が公園に浮かんでいるボートを思い浮かべることが出来るくらいなものではないでしょうか? しかし、一度でもその姿を目にしたことのある人ならば、それを見紛うことはありません。そして「ボート」は素晴らしく単純で、それでいて美しいスポーツだと感じるに違いない、などと思うのはボート経験者の思い上がりでしょうか。 しかし、「単純さ」を獲得するための道のりというのはボートに限らず、どんなスポーツでも、あるいはそれが映画であっても、困難なもので、それが実現されたときには美しいものではないでしょうか。 いずれにしても、百聞は一見にしかず、ボートの美しさに目を奪われることが一番なのですが、ここではその出会いを準備するための助走として、台本の中にでてくるいくつかの用語について説明を加えたいと思います。
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1. | エイト | 8人漕ぎ、他に舵手ひとり |
2. | 舵手付フォア | 4人漕ぎ、他に舵手ひとり |
3. | 舵手なしフォア | 4人漕ぎ |
4. | 舵手付ペア | 2人漕ぎ、他に舵手ひとり |
5. | 舵手なしペア | 2人漕ぎ |
6. | ダブルスカル | 2人漕ぎ |
7. | シングルスカル | 1人漕ぎ |
8. | ナックルフォア | 4人漕ぎ、他に舵手ひとり |
1〜5、8は1人一本のオールで漕ぎ(ローイング種目)、6,7は1人2本のオールで漕ぐ競技(スカリング種目)です。 また、1〜7で使用する艇をシェル艇、シェルボートと呼びます。8のナックルフォアは安定のよい練習艇として日本で作られたもので、幅が広く形が若干異なります。 悦子の時代の高校生の競技としてはナックルフォア、シングルスカルが主流でしたが、現在ではあまり漕がれることがありません。 |
陸上で、フォームの確認修正をするために、ストレッチャー、シート、レールの部分だけを取り出したもの。 これに負荷がかかるようにしたものがエルゴメーター。 |
進行方向に向かって先頭からバウ、2番、3番、整調(ストローク)、以上が漕手で、船尾にコックス(舵手)が乗っている。コックスは舵を取るだけでなく漕手に掛け声をかけ、様々な指示を出したりします。 |
オールで水を掴む動作を「キャッチ」、漕ぎきって水からオールを抜き出す動作を「フィニッシュ」という。「キャッチ」と「フィニッシュ」にあわせて、「キャッチ、ロー」と声を出す。 |
フィニッシュの時に水からオールを抜き損ねてしまうこと。オールのグリップの部分が腹に突き刺さるようになることから腹切りという。 |
整調(ストローク)・2番をストロークサイド、3番・バウをバウサイドという。 「バックロー」は後ろへ進むように漕ぐこと。 |
1分間に漕ぐ回数。その漕いでいる速さ。 |
漕ぎやめるときの合図。 ※余談だが、敷村良子原作「がんばっていきまっしょい」の続編タイトルは「イージーオール」という。これは、単行本「がんばっていきまっしょい」に所収されている。かなり面白い。 |
読んで字のごとく腕だけで漕ぐこと。フォームを分解して漕ぐ技術練習の一つ。他に上体漕ぎ、ハーフスライド、フルスライドなどがある。 |
ボート一艇分の長さ。 |
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