愛媛ロケがほぼ終了した9月下旬、磯村監督にお話を伺うことができました。
青春映画について熱く語る監督のお話を紹介いたします。



−まず、監督にお聞きします。今回何故この作品(がんばっていきまっしょい)を選んだのでしょうか?

(磯村)
原作ということでしょうか?それならば、この「がんばっていきまっしょい」は原作を読ませてもらった時にすごく「映像」がいっぱい浮かぶ小説だったんです。少なくとも私はそう思って読まさせてもらいました(笑)。それで、映画にしたいな、と。
それに青春時代を描いた小説ですし、私はだいぶん歳を取ってしまいましたけど、今一度、そういった青春モノに挑戦したいなと思ったものですから。だから原作を読んだとき、すぐに映画にしたいなと思いました。
そう考え始めると、私の頭の中で映像がドンドン浮かんだんです。大方の映像の舞台が「湖」。自然の中で、若い女の子たちがボートを漕ぐ、それがまず一番最初にピンときた映像で、どうしても映画にしたかったですね。



−今回の主演の田中麗奈さん、この女の子を主役に抜擢した理由はなんでしょうか?

(磯村)
主人公らしかった、とでもいいましょうか(笑)。彼女の持つ少女らしさや、素朴さがこの映画の舞台である20年前の女の子のそれに近かったんです。幸い田中さんは、地方(福岡県久留米市)に住んでいて、地方の普通の高校に通っていますから、自然にそういうものが出ると思いました。自然に見えることが大事だな、と思って彼女しかいないと。



−では、ひと通り撮影を撮り終えた現在での、監督の手応えとでもいいましょうか、感想をお聞かせください。


(磯村)
そうですね。映画の撮影というのは自然相手のことですから天候のことは大変でしたけど(※)、他のことは愛媛の地元の方の協力もいただけて、極めて順調に撮り終えることができました。
(※ ロケ期間中の8月・9月には愛媛に大型台風が2つ上陸しました)


−この映画を撮り始める前に「湖面のボートのシーンを効果的に撮りたい」という意向があったとお聞きしていますが、その辺りの感触はいかがですか。

(磯村)
撮れたと自負しております(笑)。


−これは見て欲しい、というシーンがありましたら教えてください。

(磯村)
はい。この映画を撮る前に比べると、私自身も松山にいて随分変われたと思うんですね。それが最後のレースシーンに結実している、と思ってます。
だから、映画の最後のシーンで、5人の女の子がボートを漕ぐシーン、これは、映画のクライマックスという意味だけではなく、是非注目して映像をみてもらいたいと思います。



−愛媛には38日という長期間の滞在になったわけですが、愛媛で印象に残るものは何かありましたか?

(磯村)
やっぱりお人柄ですかね。私たちは都会で仕事をすることが多く、なんとなく気分もあわただしい感じがいつもしているんです。愛媛の皆さんには本当に良くしていただいて、じっくり落ち着いて撮ることに専念することができました。ありがとうございました。


−食事で美味しかった、というものはありましたか?

(磯村)
海が近かったので、お魚はやっぱり美味しかったですね。
それと、“鳥”が名産なんですか?私は鶏肉が好きなものですから、まつやまの“せんざんき”などは、本当に美味しくいただきました。



−瀬戸内の自然とか「絵」的にきれいに撮れたというものはありますか?

(磯村)
やっぱり海と湖ですね。
話の重要な舞台でもありますし。それは、やはり愛媛でないと撮れなかっただろうな、と思っています。



−撮影後半は天候に恵まれたと思いますが、前半の撮影部分とのつなぎで苦労されるのではないでしょうか(笑)?

(磯村)
まあ、いつものことで、それがひとつの楽しみでもありますね(笑)。
編集というのは、自分の頭の中で持っているイメージがあって、それが完璧だと出来上がっているつもりでも、またその編集の仕事に入ると、色々な問題が見えてくるものですから。


−今まで映画を撮られてきたなかで、特に印象に残る俳優さんとかはいらっしゃいますか?

(磯村)
皆さん、出演していただくと親しみというか愛情がわくものなんですよ。やっぱり。
その意味でいうと、今回もう一回出演してもらった中嶋朋子さん(※磯村監督作品「あさってDANCE」に主演)は、前は4年前くらいになりますかね?またがんばってもらったな、と大変嬉しく、またありがたく思っています。


−中嶋朋子さんは、「あさってDANCE」と今回の作品とで大分色合いが違ったキャラクターを演じていますよね?そういう場合監督が気を付けたことはありますか?

(磯村)
中嶋さんは本当に台本をよく読まれる女優さんなんです。ですから、その辺は彼女に任せました。

−最後にこの映像を見てもらう方に一言お願いします。

(磯村)
まあ、映画っていうのは、こう、いくら言葉で言っても語り尽くせないものですから、「こんな映画なんだ」って言ってもダメだと思うんです。だから、私がいつも言っているのは「とにかく、まず見てください!」、これだけですね。あとは色々なご感想を持たれると思いますが、まず見て欲しいです。



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