「ライブの中には僕がほとんど集約されてる。
飲んでるときは、オマケだ!」
高田 渡 Wataru Takada
1949年、岐阜県に生まれ東京に育つ。中学卒業後、昼間は印刷会社で働き夜は定時制高校に通う生活を送る中、アメリカのフォークソングに傾倒し曲作りを始める。
1968年、フォークキャンプで『自衛隊に入ろう』を唄い注目され、翌年『高田渡/五つの赤い風船』でレコードデビューを果たす。自作のほか、明治・大正・昭和の演歌師や山之口貘をはじめとする詩人の現代詩に曲をつけたスタイルを確立する。そんな独自の手法で日本のフォークソングを次々と作り出し、40年近く全国各地で唄い続けた。
2005年4月、公演先の北海道で急逝。享年56歳。今もなお“高田渡生誕会”が毎年行われ、多くのミュージシャンやファンに愛されている。
「国宝!高田渡!」
泉谷しげる Shigeru Izumiya
1948年、青森県に生まれ東京に育つ。高校を中退し漫画家を目指していたが、高石友也、岡林信康などのフォークに影響を受けて音楽を志すようになる。都内のフォーク喫茶で唄い始め、1971年『泉谷しげる登場』でレコードデビューを果たす。
1975年には吉田拓郎、小室等、井上陽水と共にフォーライフレコードを設立。その後も、精力的にライブ活動を続け観客を魅了している。また、北海道・奥尻島救済キャンペーンなどのチャリティーコンサートを自ら開催した。
2007年5月に「フルライブ!35曲制覇」を敢行。また、俳優としてもキャリアを築き、映画では2008年『KIDS』『ガチボーイ』が公開。
「渡さん、一緒に唄って下さいよ」
柄本明 Akira Emoto
1948年、東京都生まれ。[自由劇場]を経て、そこで知り合ったベンガル、綾田俊樹と共に1976年[劇団東京乾電池]を結成。映画では『セーラー服と機関銃』『Shall we ダンス?』など数々の作品に出演する。
1998年『カンゾー先生』では日本アカデミー賞をはじめ各賞の最優秀主演男優賞に輝く。最近の主な出演作品は『嫌われ松子の一生』『やじきた道中 てれすこ』『呉清源
極みの棋譜』『魍魎の匣』などがある。2008年は『リアル鬼ごっこ』『ぐるりのこと。』『ICHI』『築地魚河岸三代目』『最後の早慶戦』『石内尋常高等小学校
花は散れども』(主演)の公開が控えている。
佐久間順平(Acoustic Guitar, Mandolin, Viollin)
キヨシ小林(Acoustic Guitar)
冨岡雅佳(Acoustic Guitar)
長山ゆうじ(Double bass)
KONTA(Saxophone)
ベンガル
綾田俊樹
製作:桝井省志
企画:柄本 明 高田友惠
プロデューサー:土本貴生
監督・撮影:白石晃士
撮影:長田勇市(JSC)
整音:郡 弘道
音楽監督:佐久間順平
編集:森下博昭
写真:鈴木愛子
企画:劇団東京乾電池 オフィス高田渡
製作:アルタミラミュージック
白石晃士(監督・撮影) Koji Shiraishi
1973年、福岡県生まれ。1994年に石井聰亙監督の『水の中の八月』で製作進行としてプロの現場にかかわる。その後、監督した自主映画『暴力人間』がひろしま映像展98企画脚本賞・撮影賞を、『風は吹くだろう』がPFF準グランプリを相次いで受賞。その才能が矢口史靖監督の目にとまり『ウォーターボーイズ』のメイキング監督に抜擢される。『ノロイ』で劇場用長篇映画デビューを果たし、近年では『口裂け女』が話題となる。「ロマンのあるファンタスティックな映画を作り続けたい。そういう意味でホラーも音楽ドキュメンタリーも自分の中では繋がっている」という。
"タカダワタル的ファンタスティック"
二〇〇一年の大晦日、ライブ当日。高田渡さんは遅刻して会場入りしたが、慌てる様子もなく飄々としていた。小柄で髭をたくわえた姿は愛嬌のあるオーラに包まれ、仙人を思わせた。
私にとって初体験の高田さんのライブは圧倒的で、一瞬にして魅了された。深みのある歌声と演奏、トボケたMC。柔らかさと鋭さのバランスが絶妙で、根底にはマイノリティへの愛ある視点があった。生前の高田さんとお会いしたのは、このときだけだ。
二〇〇六年十二月から本作の編集が始まり、間を空けながら半年ほど延々と作業をして幾つものバージョンを作った。この間、同じ映像を普通の編集以上に繰り返し繰り返し見たわけだが、どれだけ繰り返し見ても高田さんの魅力に引き込まれ、飽きることが無かった。高田さんが写っていれば常に、それはファンタスティックな映像となるのだ。
偉大なミュージシャンの映画に監督として携われたことを、光栄に思う。
白石晃士