いつもアルタミラ作品を応援くださっている、がんば会のドックさんこと和田曜章さんより、2017年2月11日(土)公開の映画「シンクロナイザー」の初日舞台挨拶レポートが届きました。熱意のこもったレポートありがとうございます!ちなみに、ドックさんは、同日公開を迎えた映画「サバイバルファミリー」もご覧になってくださっていただきました。本当にありがとうございます!!

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2月11日(土・祝)にユーロスペースで開催されました、「シンクロ
ナイザー」初日舞台挨拶を拝見いたしました。
 上映後・上映前の2回実施された舞台挨拶のうち、私が鑑賞しましたの
は前者の方でしたので、まずは作品を鑑賞いたしました。
 小津安二郎ファンをニヤリとさせる冒頭の引用句に続くタイトルバック
は、音楽やパソコン画面のグラフィック表示がどこかヒッチコックの「サ
イコ」を彷彿とさせるよう。
 そして本編が始まりますと、発達した科学とそれを用いる人間の心の危
うい暴走の様は、「怪奇大作戦」を思わせる味わいがあります。
 映画ファンあるいはこの手のジャンルファンには、とても親和性を覚え
る作風なのです。
 それでいて、予算その他さまざまな制約があるのは当然ではありますが、
その枠内で果敢な挑戦を見せている作品でした。
 この映画に満ちた作り手の志は、同日東宝系全国公開のアルタミラピク
チャーズ作品「サバイバルファミリー」にいささかも負けておりません。

 緊迫感に満ち満ちた人間ドラマを展開した本編の後に始まった舞台挨拶
では、万田邦敏監督と俳優陣が自然体の雰囲気で和ませてくださいました。
 劇中では地味で幸薄いヒロイン(だからこそ男性の観客は感情移入して
しまうと思うのですが)を演ずる宮本なつさんも、さすが女優さんと思わ
せる華がおありで素敵でした。それは逆に、映画での化け方が巧みでいら
っしゃったことがよくわかりました。
 また劇中ではちょっと怖い役(?)をそれぞれ演じられた中原翔子さん、
大塚怜央奈さん、美谷和枝さんもそれぞれ素顔の一面がうかがわれ、重厚
な結末を観た後の癒しになったようにも思えます。
 舞台挨拶のお話では、宮本なつさんが仰っていた「2年前に撮影された
ものがやっと公開になって、今日は私も興奮しています」といった旨のご
発言が印象的でした。ひとつの作品を創り出すのもたいへんなご苦労があ
るとは思うのですが、それを世に出すことも今日の映画界では厳しいこと
なのだと改めて実感いたしました。
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 当日は各回とも大盛況で、2つの上映回の入替時には芋を洗うような大
混雑となりました。たぶん一時的には渋谷のスクランブル交差点よりも人
口密度は高かったと思います。
 描かれている物語に鑑みれば「楽しい」という言葉はあるいは適当では
ないのかも知れませんが、今日の映画界においてこういう作品が生み出さ
れるという点では、まさに「楽しくなる」思いのする一本でした。
 初日のこの勢いのまま、多くの人たちに観てもらえたらと、いち映画フ
ァンとしても感じ入りました。

「がんば会/和田曜章」