小津安二郎生誕110年・没後50年記念【周防正行監督〜私の小津安二郎監督案内〜】と題して、周防監督の講演会が行われました。
世界的に高い評価をうけ、ゴダール、アッバス・キアロスタミなど各国の巨匠にもファンのいる小津作品。何故小津なのかという問いに、周防監督は「(小津作品は)小津の世界観が確立されているからではないか」と語っていました。日本語が英語に翻訳されることで、日本語の独特な表現は失われているはずなのに、映像を観ただけで、これは小津作品である、と観客に伝わるその明確なスタイル。どうやってその世界観を観客に伝えることができているのかわからない、とも語っており、どうやらそのあたりに世界中の監督を魅了する要因がありそうです。
周防監督のデビュー作品「変態家族 兄貴の嫁さん」も小津監督へのオマージュ作品であり、「晩秋」で嫁いだ原節子さんの嫁ぎ先が変態家族だった・・・というコンセプトでこの作品を撮影したそうです。「変態家族 兄貴の嫁さん」は、コンセプトだけでなく、小津監督のこだわってきた縦のライン、横のラインをまっすぐに映すこと、カットの繋ぎ方などなど随所に小津スタイルが感じられます。しかし、今の周防監督の目線では、小津監督へのオマージュとしてはまだまだだったとか・・・。周防監督のラスト作品は「完璧な小津作品を撮る」と宣言していました。
周防監督の新作を心待ちにする身としては、楽しみすぎます!
 
さて、周防監督による小津作品のお薦めは・・・「お早よう」だそうです。下ネタあり、笑いもあり・・・小津の入り口として最適だそう。そしてサイレント作品であるのにも関わらず小津スタイルを十分に感じられる「生まれてはみたけれど」もお薦めだそうです。
この土日は、お家シネマで小津監督特集はいかがでしょう?
 
池袋コミュニティ・カレッジでは、月に一度、セブンシネマ倶楽部と題して、監督だけでなくプロデューサーや評論家などによる公開講座を行っています。
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