2014年9月11日。周防正行監督最新作『舞妓はレディ』の公開と、周防正行監督初期3作品4KScanningBlu-rayBOXの発売を記念して、一夜限りの『Shall we ダンス?』デジタルリマスター特別上映が、テアトル新宿で行われました。
今回のデジタルリマスターでフルHDの4倍の解像度になったことについて、周防監督は「フィルムの質感を鮮やかに再現したもので、何でもはっきり見えるというハイビジョンとはちょっと違うんです」と説明。そして、話題がキャスティングのこととなると、客席で見ていた草刈民代さんも急遽トークショーに参加。客席からは嬉しいサプライズにどよめきが。
主役2人のイメージに悩んでいた監督は、同日に別々の3人から草刈さんを推薦されたという話しや、役所さんを磯村監督から提案された時には「正直、侍のイメージで違うな」と思ったエピソードなどを語り、19年前の撮影当時の記憶を辿りながら貴重な裏話で盛り上がりました。
最後に2人にとって『Shall we ダンス?』がどういう映画だったのか?という質問には、
草刈さん「劇映画に出るなんて当時は思ってもいなかったけど、ダンサーとしてリアルに分かるところもあったし、踊っている時と違うことをやっているという感覚はそれほどなかった。けれど、人生の転機になった作品。結婚もそうですし、この作品を経験することで自分の持っているものが開花するきっかけになりました」
周防監督「嫁さん探しの映画」とジョークを飛ばすと客席は大爆笑。監督も「良かったウケて」とご満悦。客席を掴んだところで「(『Shall we ダンス?』は)いまだにメモリアルなものとして、客観的には到達点として伝えられるけど、あの時点での早過ぎた完成形。『ファンシイダンス』では自分のセンスをむき出しにして、『シコふんじゃった。』ではソレを少し抑えて物語を伝えようとして、その後、もう少し時間をかけて到達するはずだった作品が図らずもできちゃった。そういう幸せな映画だと思う」と感慨深く語っていました。
トーク終了後の上映では、18年前と変わらず、トイレのシーンに大爆笑して、ダンスのシーンにワクワクして、教室の告白シーンに見入って、杉山さんが青木さんを庇うシーンで胸を熱くして、あの幸せなラストシーンに魅せられて、映画館を後にするお客さんたちの姿勢が少し良くなっているようでした。